大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和50年(行ウ)98号〔2〕 決定 1988年3月24日

申立人

全国一般労働組合大阪府本部全自動車教習所労働組合

右代表者執行委員長

家田保

右代理人弁護士

河村武信

相手方

株式会社商大自動車教習所

右代表者代表取締役

谷岡剛

右代理人弁護士

平田薫

久世勝一

香月不二夫

主文

本件補助参加の申立てを許可する。

申立費用は相手方の負担とする。

理由

本件補助参加申立ての理由は、総評全国一般労組全自動車教習所労働組合(以下「申立組合」という。)を名宛人とする救済命令が発せられているところ、申立人は申立組合と同一性を有するので右救済命令の取消訴訟の結果につき利害関係を有する第三者に当たるというのである。そこで検討するに、一件記録によれば、申立組合は相手方内にある下部組織である商大分会に対し不当労働行為がなされたとして、相手方を被申立人として大阪府地方労働委員会に救済申立てをしたところ、同委員会は申立ての一部を認容して救済命令を発し、同命令は被告中央労働委員会で一部変更されたもののその余は維持されたこと、申立組合の上部団体である総評全国一般大阪地連は昭和五二年二月ころから運動方針をめぐって意見の対立が生じ事実上分裂の状態に陥ったこと、申立組合内部にもその頃から同様の意見の対立が生じ表面化することとなり、家田保を執行委員長とする組合(申立人)と杉岡克己を執行委員長とする組合が存在するに至ったこと、なお、当初両組合はいずれも申立組合と同一名を称していたが、その後申立人は現名称に変更したこと、申立人は申立組合の規約を承継し、活動方針も重要な部分で申立組合の方針を引き継いでいること、また、本件救済命令において救済を求めている商大分会は申立人に属していることが認められ、これらの事実を総合すると、申立人は申立組合と同一性を有するものと認められる。なお、一件記録によれば杉岡克己を執行委員長とする組合は、申立組合との同一性を主張して申立人に所属する組合員は申立組合から除名したと教宣していることが認められるが、右申立人と申立組合との規約や活動方針の同一性に照らすと、右教宣の事実をもって右認定を覆すに足りない。

以上の次第であるから申立人と申立組合との間に同一性が認められるので、申立人は本件救済命令の取消訴訟において、「訴訟ノ結果ニ付利害関係ヲ有スル第三者」といえる。

よって、本件申立ては理由があるから、申立人の補助参加を許可し、本件申立費用は相手方に負担させることとして主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 白石悦穂 裁判官 納谷肇 裁判官遠山廣直は転官のため押印できない。裁判長裁判官 白石悦穂)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例